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「鉄ちゃん」という趣味

 最近は、鉄道関係の趣味を持つ人のことを「鉄ちゃん」というようになってきた。今でこそこういう形で周囲に認めてもらえるようになってきたが、それまでには長い道のりを歩んできたように思う。
 その昔、「オタク」という言葉が流行っていた。この言葉は自称「オタク評論家」としてマスコミ等に出演していた某氏の影響かと思っていたが、実は、あまりなじみのない方に対して使用する「お宅は…」という言葉からきているといわれている。つまりそれだけ近寄りにくい人種だったといえるだろう。正直言って、私自身がそれを理由にいじめられたこともあった。
 それが解消されてきたのは、アーケードゲーム「電車でGO!」の出現である。このゲームが一般の方々に受け入れられたことが、鉄道趣味に対する見方を変えたのかもしれない。
 ただ、その一方で「マニア」と呼ばれる人達が、世間に対して迷惑をかけるようになったのは事実である。
 2年前、群馬県と長野県をまたがる碓氷峠を走っていた路線が、新幹線の開業と同時に廃止になった。このとき、全国からファンが一斉に集まり、大変な騒ぎを起こしている。最終日の模様がマスコミを通じて報道されたとき、あまりのすごさに絶句された方もいるだろう。しかし、実際はそれだけではないのだ。
 はっきりいってそれは、同じ鉄道ファンである私から見ても、絶句するようなことばかりである。撮影地における、場所取りをめぐってのけんかは当たり前、鉄道敷地内、つまり線路上などに侵入するファンまで現れてきた。先日、ある列車を撮影しに行ったときも、列車が通らないときだったが、線路上を平気な顔で移動していくファンの姿を何十人も見かけた。これらの行為は、地元住民から見れば、ものすごく危険な行為であり、また迷惑なことでもあるのだ。そして、それを注意しようものなら、「いいじゃないか」といった表情で文句を言ってくる。自分たちは「他人に迷惑をかけなければそれでいい」と思っているか、さらには「自分さえよければそれでいい」と思っているから、他人に注意されることに対して嫌気が差すわけなのだ。
 続いて、ここ最近の問題について話をしたいと思う。1999年4月に、群馬県の横川という所にオープンした「碓氷峠鉄道文化むら」という施設がある。この施設では、今まで走っていた車両などを展示・保存しているのだが、最近になって部品等の盗難が相次いでいるそうだ。なぜ?と思う方もいると思うが、こういう部品はコレクションとして所有しているだけでなく、そういった物を扱っている店などで売買されるといったケースがあるのだ。実際に希少になればなるほど高値で売られている。例えば、列車の前面にかけてある「ヘッドマーク」というものでも、数万から数十万といった価格がつけられるのである。
 高値で取引されるものはこのほかにもある。それは「模型」というものだ。特に中古品、委託品などは非常に高い価格となることが多い。3年前に定価16.500円で販売された車両セットが今や3万円を超えていたり、ひどいものになると8万円とか10万円といったものがある。中古品というのは店側で買い取るものなので、極端に高くなることはないが、委託品というのは、自分で価格を決めてお店で売ってもらうので、その分高くなりがちなのだ。現在では生産されていないものなどは「プレミア」ということで非常に高くなる。
 さらに悪いことに、普通の店で売っているものを「ほかの店で売れば、もっと高く売れる」といいながら定価で購入し、中古品を扱っているお店で、定価の数倍の価格で売りに出すという人間がいる。そして、そういう高いものを平気で買っていくお客さんもいるのだ。数万円かかっても、ほしいと思うのだろう。
 これまで話してきたことは、どの分野でも起こりうることだと思う。しかし、それを疑問に思う人間が、どれだけいるのだろうか。夢中になればなるほど、周りのことに目を向けなくなる傾向がある。そうなる前に一歩引いて、少し考えてみてはいかがだろうか。